2020年8月、コロナ禍に周到な密回避もできない会場にて予定通り全国通訳案内士試験が行われた。試験終了直後から受験者の一部から今年も難しかった・・ 一般常識に奇問も多かったという声もちらほら聞かれ、今年もまた筆記試験の合格者数が心配されていたがやはり例年通りに国家資格の壁は高った。
8月16日の一次筆記試験を全科目を受験して合格した者はイタリア語での受験者からは0名だった。一部筆記試験を免除された受験者からの合格者が7名のみ。
筆記試験全科目免除者6名は12月13日のイタリア語口述試験から挑戦する。合計13名で臨む口述試験では果たして最終合格者は何名出るのだろうか。ちなみに2019年度は87名のイタリア語受験者に対して最終合格者は2名。合格率は2.3%という超難関国家資格という結果であった。
2018年1月4日から旅行業法が改正となり通訳案内士の業務独占の解禁となり、いわば資格を持っていなくても誰でも訪日外国人の観光客を日本全国案内することが可能となった。しかしながら依然として全国通訳案内士という国家資格は存在し毎年試験も行われる。資格を持っていない者は試験を受けるが合格率2.3%の高い壁を超えることはできず、無資格ガイドというレッテルを貼られて観光案内の仕事に従事できても報酬を値切られ厳しい目でその資質が問われる。そもそも訪日インバウンドブームで外国人観光客が急増する中、ここ数年は観光通訳ガイド不足が慢性化してガイドに対してのクレームやトラブル、事故などが多発し海外から日本を訪れる外国人観光客に対して多大な迷惑をかけているケースが頻繁に起こっている。それをオーバーツーリズムという言葉で胡麻化している輩もいるのも悲しい。
2030年に6000万人という日本国政府の目標はあるが、その訪日観光客を支える日本旅行業の今後の施策は何なのか。2020年コロナウィルス感染問題で訪日インバウンド消費約5兆円が吹っ飛び、東京オリンピックも翌年に延期になったが、それと同時に訪日インバウンドの観光ガイド問題も無くなった。2021年にアフターコロナに訪日外国人が戻り始めた時にまた過去の問題を繰り返さない様に今のこの時期に真剣に対策と準備を施してもらいたい。と言っても今回の試験の合格者数を見ていると国としては放置プレーということなのか・・
2021年、アフターコロナに感染の不安を持ちながらも旅行先に日本を選んで訪れてくれる訪日外国人に最大級のおもてなしと観光のご案内をして一人でも多くの日本ファンを作ってリピートしてもらったり、自国に戻ってお友達、ご家族に日本への旅行をお薦めしてもらえれば過去2011年東北大震災の後の様な急激な訪日インバウンド観光業の復興が期待できるのではないかと確信しています。
グイダプリマベーラは国家資格には拘りません。訪日観光客を楽しませ喜ばせ、また日本に来てみたい!と思って頂けるような観光のお手伝いを致します。試験の高い壁は超えられなくても言葉の壁を乗り越えアフターコロナに安心と安全に日本国内のご旅行を楽しんでもらえる準備をしています。一日も早くに多くの外国人観光客の方々をご案内できる日が来ることを祈っています。
一般社団法人 日本ツーリストガイド・アシスタント協会 代表 尾䑓則之